トップページ » 新着情報 » 行政書士法の一部改正について
2025年12月24日
行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)が成立し、
令和7年6月13日公布され、令和8年1月1日に施行されることとされています。
今般の改正以前からも解釈は同様であり、本改正に伴って取扱が変わるものではありませんが、
今回の行政書士法の改正では、行政書士や行政書士法人でない者が他人の依頼を受け、
「手数料」や「コンサルタント料」等どのような名目であっても、対価を受領して、業として、
官公署に提出する書類等を作成することができないという従来の解釈が条文上においても明確化されました。
当該行為を行った場合、従来と同様、同法第19条第1項(業務の制限)違反として処罰されるおそれがあります。
■今回の改正法における注意事項■
①特定行政書士の業務範囲の拡大
新法第1条の4第1項第2号に基づき、特定行政書士が、行政庁に対する不服申立ての
手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成することが
できる範囲について、行政書士が「作成した」官公署に提出する書類に係る許認可等に
関するものから、行政書士が「作成することができる」官公署に提出する書類に
係る許認可等に関するものに拡大することとされたこと。
これにより、これまでは、許認可等の申請を申請者本人が行った場合において、
当該申請に係る処分に不服があるときは、他の法律において不服申立ての手続を代
理できる者が定められている場合を除き、申請者本人又は弁護士に依頼して不服申
立てを行うものであったが、本改正により、これらの者に加え、特定行政書士に依
頼して不服申立てを行うことも可能となること。
② 業務の制限規定の趣旨の明確化
改正法による改正前の行政書士法第19条第1項(業務の制限)において、「行
政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うこ
とができない」と規定されていたが、改正法においては、本規定に「他人の依頼を
受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の文言を加え、その趣旨を明確に
することとされたこと。
これは、行政書士や行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、「手数料」や
「コンサルタント料」等どのような名目であっても、対価を受領して、業として、
官公署に提出する書類等を作成することは違法であるという現行法の解釈を条文に
明示することにより、行政書士や行政書士法人でない者による違反行為の更なる抑
制を図ろうとする趣旨によるものであること。
<参照条文>
●改正後の行政書士法(昭和26年法律第4号) ※令和8年1月1日施行
(業務)
第一条の三 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(そ
の作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認
識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の
用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を
含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する
書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律にお
いて制限されているものについては、業務を行うことができない。
第一条の四 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、
次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行
うことが制限されている事項については、この限りでない。
一 〔略〕
二 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類に係
る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服
申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作
成すること。
三・四 〔略〕
2 〔略〕
(業務の制限)
第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目に
よるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができ
ない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるもの
として総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有す
る者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。